職場の前を毎日自転車で通るオジサンがいる
だいたい昼過ぎにフラフラしながらゆっくり通り過ぎる
服装は小汚い
年季の入ったジャンパーに紺色のニット帽
顔は髭に覆われて浅黒い
体型は小太り
いつも自転車の荷台に車のバッテリーを紐で縛り付けている
イメージは「汚いオヤジ」
なんなら「浮浪者なのかな」くらい
先日飲んだ帰りに飯田橋駅前でラーメン屋台を発見
美味そうだなと暖簾の向こうを覗くと、なんとラーメンを作ってるのはバッテリーを運ぶ汚いオヤジ!
どうやら浮浪者ではなく、今は貴重な屋台のラーメン屋さんだったらしい
その日は屋台には寄れずに家に帰宅
その日から昼間チャリを漕ぐオヤジを見かけても「汚いオヤジ」とは思わなくなり、むしろ「腕の良い昔ながらのラーメン屋さん」イメージが大きくなって無性に食べてみたくなってきた
イメージなんて勝手なもんで、屋台ラーメンのオヤジと知ったとたん小汚いのがプラスになる
逆に屋台ラーメンをやってるのが若い爽やか兄ちゃんじゃ美味そうではない。夏は頭にタオル、冬はニット帽を被ったオヤジに限る
数日後、飲んだ帰りにラーメン屋台に行ってみた
ビンビールとラーメンをもらう
美味かった
あまりに美味かったんで馴染みになろうと思い、酔いも手伝ってオヤジに「いつも後楽園を自転車で走ってますよね?」と話しかけてみる
「いや、そっちはあまり行かないし、自転車持ってないっすよ」
「あ、そうすか…。」
完全な人違い
この人は美味いラーメン屋さんで、あいつはやっぱり小汚いオヤジだったようだ
なんだか肩透かしをくったような気分で帰宅。
その日以降、たまに見かける自転車オヤジが前以上に汚くなったような気がする
きっと一度見直してしまった分の落差がそうさせるのだろう
自分の未熟さを感じつつも、人のイメージには敵わない気がする今日この頃
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