工事現場では神様を信じる
建物を建てるということは、その土地をいじるということ
古くから建っていた建物を壊し、土を掘り返して新しい基礎を作る
この基礎工事はドタバタする
何事もなく進むこともあれば 何度も何度も問題が起きることもある
工事の始まる前には神主さんを呼んで地鎮祭を行い、その土地の神様を鎮める御祓いもするし、工事中は毎日神棚に手を合わせ 榊を枯らさない様に水をやる
数年前に入っていた建築現場は後楽園あるの小石川
この現場がなかなかうまく進まない
とある日
基礎の杭を作るために、160tの巨大な水槽を置いた。
何度も地盤の強度を調べ、理論上は問題なし
「これなら大丈夫だろう」と水槽をセットし、水を溜め始めた
次の日
まだ20t程しか入れていない水槽が大きく傾き、水がこぼれている
これはまずいと大慌てで撤去してみると土が大きく陥没している。
危うく隣の木造住宅に倒れるところだった
原因は不明
翌週
杭工事を進めているなか、機械が数十メートル地中で何かに当たって動かなくなってしまった
しかしその正体がわからない
前の建物の図面を見ても何も埋まっていないはず
それでも機械が動かず、作業が中断
前の土地の持ち主に問い合わせるも原因はわからず
しかたなく別の解体用の機械に入替え、地中の障害を探す
それでも何も出てこない。でも何かに当たって作業はできない
お手上げ状態で現場がストップ
「いったい何だろう?」と所長とふたり首をかしげる。
少しでも情報を得ようと近所に昔から住んでいるおじいさん
(70歳くらいの元大工さんに)に聞いてみると
「あそこは昔から木造住宅で大きな基礎はないはずだけど、たしかあそこは井戸があったぞ。ずいぶん前に埋めたけど確かにあった」とのこと
枯れ井戸・・
それは土をいじる時に2番目に触りたくない物(1番はお墓)
先輩からも、井戸の上に建てた時のうわさ話は何度も聞いている
完成間近のマンションを夜戸締まりしていて、まだ誰も住んでいないのに毎日決まった部屋から子供の笑い声が聞こえたりとか
枯れ井戸を知らずに潰した日から、しばらく奥さんが原因不明の高熱にうなされたとか
「恨みを家に持って帰る」ってのがあるらしい
「すぐに御祓いをしよう」という話しになり
午前中で帰ってしまった職人1人を除いて、みんなで御祓い
酒とお米と塩を盛り、2礼-2拍手-1礼
それを敷地の角を「の」の字まわりに1周する
井戸のあった場所に長いパイプを埋め込む(昔から井戸を埋めるときは、底にいる神様が呼吸できるように通気用のパイプを入れる)
これでもう大丈夫だろうとその日は解散
翌日
作業は問題なく進む
地中にあった障害が何だったのかは結局わからないが、とにかく解決
しかし、昨日1人で先に帰った職人が昼になっても現場に来ない
親方が連絡を取ろうとしても携帯がつながらないらしい
午後になって親方の所にその職人の奥さんから連絡があった
「昨日主人が帰宅途中で車にはねられまして・・・。」
「・・・・。」
みんな絶句。
家まであと10mほどの距離、交差点で飛び出して車にぶつかったらしい
命には別状は無いけれど、2ヶ月くらいは入院するだろうとのこと
みなさん
土で遊ぶときは、くれぐれも注意して下さい
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