松崎雑記帳

バイク、DIY、芝、庭、登山などの趣味ブログです。

MENU

【エッセイ】嘘彼女の末路

20代半ばの夏の頃

 

当時ルームシェアしてた家に

Yが職場の後輩を連れてきた


彼は2つ年下 当時25歳

決して女の子にモテるタイプではない


少しオヤジくさい顔 舌足らずで早口な話し方

どこかへつらうような態度と笑い方

そしてプライドの高そうな目


しかし嫌なやつではない

言葉使いは礼儀正しく、遠慮も知っている


しかし


女にモテる感じではない

 


お酒も程よく回りはじめた頃

そんな彼が、突然昔付き合っていた彼女の話を始めた


Yは何年か彼と同じ職場で働いているが彼女がいたって話は聞いたことが無い

「え?お前彼女居たことないようなこと言ってなかった?」

「彼女いましたよ。高校3年の頃ですが」

「どれくらい付き合ったの?」

「えーと、2ヶ月くらいです」


これは面白いことになったと顔を見合わせるオレ達

すぐさま手元にあったビデオカメラの録画ボタンを押す。

 

何気ない顔で質問を続けるY。

なんともいえない顔でリアクションするマツ。

笑いをこらえて下向くオレ。

 

「どうやって付き合ったの?きっかけは?」

「なんか、僕はぜんぜん好きじゃなかったんですけど
 なんかまわりがみんなで付き合え見たいな感じに盛り上がっちゃってて」

「それで告白したんか?」

「僕がつきあってくれって言ったわけじゃないんですけど。なんか彼女もその気になっちゃったみたいで、自然に付き合うことになってたんです」

 

Yの流れるような誘導尋問に気持ちよく答えて行く彼

架空の彼女は収集つかないくらい膨れ上がって行く


しばらく酔いしれたように彼女との想い出話を語っていく

 

さんざん膨らました後、悪いYが顔を出す

自分の嘘にうっとりした彼に  追い込みの誘導尋問


「へー

 ・・んで、なんで別れたの?」

「えっと、あの、ちょっとケンカみたいになって」

 

「どこで?」

「み、道で・・」

 

「そんで?」

「それで、えーっと・・」

 


「車が来て?」


「・・ひ、轢かれました」

 

!?

 

まさかの急展開

 

「轢かれた?車に轢かれたの!?」

「はい、目の前で」

「トラックか?」

「はい、トラックに轢かれました」


なんと彼は自分の嘘に収集がつかなくなり、架空の彼女は車に轢かれました

 

「それでお前どうしたの」

「僕はなんかびっくりしちゃって立ち尽くしました」


「病院一緒に行かなかったの?」

「はい、立ち尽くしてたら夜になって帰りました。」


「どうゆうこと!?」

「気づいたら 夜22時くらいだったんで家に帰りました」


「その後は?」

「その後はよく覚えていません」


「生きてたの?」

「噂では、確か死んだとか」

 

!!??

 

「噂ってお前、彼女だったんだろ!?」

「いや、そうですけど、轢かれたときはもう好きじゃなかったっていうか・・」

 

嘘にまみれてどんどん最悪の男になっていく彼

 

そして
Yの最後の救いの手

 

「お前、・・・嘘だろ」

「え?」

「彼女いたの全部嘘だろ」

 

「・・・・。

 あの、、

 本当です!!」


認めてくれれば大笑いで終わったのに

プライドが邪魔して最後まで本当のことが言い出せなかった彼は

彼女を見殺しにしたひどい男になりました

 

そんなVTRを引越しの最中に見つけたオレら3人は大爆笑

引越しは夜中まで続きましたとさ



にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
にほんブログ村

 

広告